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著作者としての姿勢

インタビュー
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「ことわらないで使用」した場合、同じ事をしていても文句を付けられるケースはぐっと増える

–:結局のところ、危なそうな場合には「著作者に聞きなさい」と言うのが安全策であると。

谷井:そう言うことだね。

–:ところが、相手が「高名」な作家さんであったりすると、「聞き難い」という事もあるじゃないですか。

谷井:だけど、「ファン心理による使用」に文句つける人はあまり居ないよね。ただし「ことわらないで使用」した場合、同じ事をしていても文句を付けられるケースはぐっと増える。

–:なるほどね。

谷井:「学校で展覧会をやる」「本にして出す」と言うようなことが平気で行われているけど、これも明らかな著作権侵害なんだ。

–:例えばwebとかで「子どもが好きだから”ドラえもん”をいっぱい使ったページを作りたい」という、お父さんお母さんなんかも増えていくと思うのだけど、これに対して著作権者はどういった態度をとっていくのか?といこともあるでしょ。

谷井:まぁ、1つの考え方としては「使ってもらえることに対して”ありがたい”と思って、文句を言わない。」、だけど「販売するなどして利益を得る場合は問題とする」とかね。

–:「何でも駄目にするから著作権侵害が増える」という気がするのですが…。

谷井:それは著作権者の考え方だからねぇ。著作権は著作権者による「親告罪<しんこくざい:公訴にあたって、被害者または、法律で定めた者の告訴または請求を要する犯罪。強制猥褻(痴漢)などと同じ>」だから、権利者が文句を言わなければ成り立たない。すなわち権利者がすべてを決めていかなければならない。

–:この人は好きだからOK,この人は嫌いだからNGもあり?

谷井:そういうこと。文句は言われるだろうけどね(笑)。法律的にはなんの意味もなさない。

–:まぁ、「なんとすばらしい」というか「身勝手な」というか…(笑)。この「身勝手さを保護する」というのが「文化を発展させる」という事につながる、これが「著作権のスタンス」なんでしょうね。

谷井:そうだね。個人の所有物みたいな感じなんだよ。ただ、世間に出てしまった場合やたら個人の主張ばかりしてしまうと困るから、法律でガイドラインを設けた、という事なんだね。

–:先ほどの引用の範囲であれば、「ドラえもんのページ」を作っても問題は起こらない?。

谷井:使い方はね。

「あらゆる使用」というのはまず考えられないんだよね。本来条件が付いてしかるべき。

–:では1例として、自分の子どもがどれだけドラえもんが好きであるのか?と言う文章が切々と書かれていて、その文章には「ドラえもんの絵が1枚2枚必要である」と言う事であれば、それは良いのではないか?と言う感じで。

谷井:そうだね。

–:「お絵かき掲示板は100%駄目だよ」ということですね。

谷井:当然そうだね。

–:ただし、「著作権者にとって有益な物であると、著作権者が判断した場合問題にならない」ケースもある。

谷井:黙ってるだろうね。でも、問題にならないから「著作権者にとって有益な物であると、著作権者が判断した。」とは言えないけどね。

–:当然そうだよね。
 著作権という物をインターネットなどで正確にやっていくためには、著作者、または著作権所有者が草の根的な使用に関する質問に対して、どう対処できるか?という事が問題になると思うのですね。

谷井:そう、それがあるね。

–:その辺を含めて著作者の人柄、対処法を含めて「ファンになる」と言う選択が生まれるかもしれませんね。

谷井:そうしなきゃいけないんだよね。

–:インターネットではプロ・アマ問わず「著作権フリー(著作者は著作権を放棄する)の素材」と「フリー(著作者は著作権を放棄していないが、使用について解放している)素材」と言うのがあるのだけど、「著作権フリー」に関しては問題ないとして、「フリー素材」となると難しいよね。他人の著作物を「これは私の著作物である」と主張しなければ、一切のことが問題なくなってしまう。

谷井:そういうことになるね。ただね、「あらゆる使用」というのはまず考えられないんだよね。本来条件が付いてしかるべき。「こういう使用は良いですよ、ああいうのは駄目ですよ。」とね。

–:「加工に関しては1次著作者の名前を入れて下さい」「再配布は不可」とかちゃんと条件がある作家さんもいるのだけど、そうではないケースもある。

谷井:別な例でいうとね、ここに「小説」があるとして、「そのまま使うのは自由ですよ」と言う意味で「これは自由にお使い下さい」と言ったとき、それを脚色して芝居にしてしまっても全く問題ないことになってしまう。

–:自分の意志と違っても、「ご自由にお使い下さい」がまずくなるわけだね。
谷井:そう言うことだね。


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(社)日本著作権協議会 副理事長
谷井精之助
インタビュー・編集:(2000.1.30)

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