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使用と引用

インタビュー
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「引用」とは他人の物を持ってくることを指す場合が多いのだけど、著作権で言う「引用」とは違ってくる

–:著作権侵害と言うと「無断の使用」となるのだけど、著作権には「引用」がありますよね。

谷井:これがね、また難しい問題なんだよ。世間一般で言う「引用」とは他人の物を持ってくることを指す場合が多いのだけど、著作権で言う「引用」とは違ってくる。

–:「盗用」になってしまう。

谷井:そうだね。ただ著作権で定める「引用」が抽象的で具体的ではないんだ。「公表された著作物は引用して利用することが出来る。この場合に置いてその引用は公正な慣行に合致する物であり、かつ報道・批評・研究その他の引用の目的上、正当な範囲内で行われる物でなければならない。」としかない。となると「何が公正な慣行に合致する物なのか?。」とか、「何が正当な範囲内なのか?」ということになる。

–:…(^^;)。

谷井:具体的にいつも言っているのは、3つの原則と1つの条件。

引用の3つの原則と1つの条件

–:まず、3つの原則とは?

谷井:「自分の著作物が主であって、引用してくる他人の著作物は従であること」。つまり他人の著作物が並んでいて、自分の著作物はそれをつなぐ役割にすぎない場合はこれに当たらない。次に、「引用してきた著作物が無ければ自分の著作物が成り立たない」。それぐらいの必要性がある事。最後に「文章の場合は必要最小限で、原文のまま。絵画や写真の場合は全部でなければいけない」という事。文章は「後2〜3行入れると読者が喜びそうだ」というのは駄目。また絵画や写真は「ここだけ取り出して」というのは「同一性保持権」の侵害となってしまう。

–:1つの条件とは?。

谷井:引用したすぐそばに出所明示をする。
「誰々の何々から引用した。」と明記しなければならない。これを「前書き」や「後書き」にまとめて明示しても、「出所明示にはならない」。引用したすぐそばになければならない。小説や随筆の場合、「いちいち出所明示していたら読者に良くない」と言って、後書きにまとめる人もいるのだけどこれでは「引用」にならない。

–:じゃぁ、ちょっと工夫して「注1」とかにして後にまとめるのは?

谷井:結局、場所の問題だから、「後書き」「前書き」では駄目。せいぜい第一節の終わりとかだね。

–:なるべく近くに持ってくる姿勢を見せて、「勘弁してもらう」。

谷井:まぁ、そうだね(笑)。


(社)日本著作権協議会 副理事長
谷井精之助
インタビュー・編集:(2000.1.30)

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