「引用」として認められるには当然条件がある
著作権法とは「著作物を著作権所有者に無断で使用することを禁じた」法律です。
この著作権法にも例外(無断での使用と認めないケース)があります。その1つが「引用」です。
「引用」として認められるには当然条件があるわけです(詳しい条件などは「インタビュー」をご覧下さい。)。絵などの場合は「同一性保持権の侵害」問題があるので一部を切り出して「引用する」事は出来ませんが、文章や音楽の場合は「必要最小限であること」という条件が適用されます。すなわち、問題になるのは「適切な量であるか?」ということになります。この量に関しては法律では具体的に定められない部分でもあるのです。
この「量が定められていない」ことから、「引用として必要である」ならば「著作物の全部」を持ってきても問題ないということになります。「引用と使用」問題で争点になるのがこの点です。
例を具体的に挙げてみましょう。
私の好きなミュージシャンに佐野元春さんがいます。私は佐野さんの音楽を「これだけ好きです。」といった事を、想い出ともに綴った文章を webで公開したいと考えました。しかし、佐野さんの音楽の良さが「文章だけでは伝わらない」と考え、「対談」にある3つの原則と1つの条件を満たしたつもりで佐野さんの数ある曲の中の1曲を、しかも1番だけ web 上で聞けるようにしたとします。さて、「無断使用」になるのでしょうか?それとも「引用」になるのでしょうか?
「司法の判断に任せるしかない」
答えは「司法の判断に任せるしかない」ということになります。
例え私が「引用」のつもりであっても、「この文章にこの引用は適切ではない」という判決が出た場合「無断使用」として何らかの罰が下ることになります。文章内容と引用量を比較検討されるということです。これには時代背景なども絡んできて、明快なガイドはあり得ないのです。
このように「引用」はとてもデリケートな問題で、トラブルの元になり得ます。例え「引用」のつもりであっても「著作権保持者がどう感じたか?」ということになりますので、トラブルは起きやすいと言わざるを得ません。完璧なトラブル回避法は「著作権保持者にお伺いを立てる」という事になります。
著作権保護団体などによっては「引用はこの量まで。これ以上は使用と見なします」と具体的な量を明言しているようですが、これは「法律違反になります」と明言しているのではなく「当著作権保護団体の基準としてこの量を超えた場合、無断使用という解釈の元、司法の判断にゆだねるなどの権利主張する場合があります。」と明言しているにすぎません。あくまでも「その著作権保護団体の基準」であり、法律的根拠は一切ありません。司法の判断によってはその団体の基準を超える量であっても、「引用として認められるケース」も当然あります。